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プロフィール
すぎはら
1968年福岡生まれ。男性。
2000年に開園。「ちびはる保育園 原田」「ちびはる保育園 基山」「ちびザウルスのひみつきち」3園の園長。また「病児保育のスタンドバイ」代表。
大学生の息子二人と特別支援学校中等部2年生の娘の父。
「え~!とても大学生のお子さんがいるようには見えませんよ」と言われるのが好き(笑)



歳を取るのは、なんだか辛いというか、悲しい気持ちになりますよね。
これまで出来ていたことが出来なくなったりするので。自分の可能性が刻々と減っていくような。。。

でも歳を重ねて経験値を積まないと出来ないことっていうのもあるし、何かとの出会いで新しい扉が開く感覚も大切にしたいです。


最近思うのは「隣の芝生は永遠に青い」です。
その事実を受け止めたうえで、「自分にとって一番大切なもの・価値観」をしっかり意識してみることが大切なような気がします。

いろいろ毎日ありますが、「愚痴は不幸を呼ぶ呪文」だそうですので、なるべくいろんなことに感謝しながら、生きていけたらと思っています。



あんまり旅行は得意ではないけれど、いつかオーロラ見に行ってみたいと、最近は思うようになりました。
自分のちっぽけさを感じて、そのうえで感じることって大切ですよね、きっと。





2020年02月10日

「普通の幸せ」

 
 今回の発表会、年長さんの劇の「普通の幸せ」

 実はこれ、全文私の創作です。


 物語を作るなんて、生まれて初めて。

 でも、いろんな経緯があり、この物語を作りました。

 つたない話で申し訳なかったですし、セリフが長くなってしまいましたね。

 その点は年長さんに申し訳なかったです。






 物語を作るということはきっともうないので、記念にここに残させてください。

 






普通の幸せ




 ある田舎町に、ねずみの子どもたちが元気に暮らしていました。
 自然がいっぱいの田舎で、ねずみの子どもたちは楽しく毎日遊んで暮らしていました。しかしだんだんと同じような毎日の繰り返しに物足りなさを感じてきていました。
 そして、遠くの都会の暮らしに憧れていました。

 「おはよう!」
 「おはよう!」
 「今日もいい天気だね」
 「今日は何して遊ぶ?」
 「かくれんぼ」
 「え~!昨日もおとといもずっとかくれんぼだよ~。なんかほかの楽しいことってないのかなぁ」
 「あとは鬼ごっこくらいしかないよ」
 「だってここにあるのは草や木や川だけ。都会みたいにお店もたくさんないし…」
 「そうだよねぇ」
 「都会に行ってみたいなぁ」
 「都会に生まれれば良かったのになぁ」
 「そしたら、毎日楽しいこといっぱいで幸せだよね」
 「なんで僕は田舎に生まれてしまったのかな。こんなとこ出て行って都会に暮らしたいなぁ」
 「私も都会に生まれたかったわ。都会にはきっと素敵なものがいっぱいよ」
 「都会に行ってみたいなぁ」

 田舎ねずみたちは、毎日のように、田舎の退屈さと都会への憧れを口にしていました。
 この田舎にいても、楽しくもないし幸せもないという思いは日に日に強くなりました。


 ある日の夜、お兄ちゃんねずみと妹ねずみの夢に、悪魔ねずみの兄弟が出てきました。
 悪魔ねずみの兄弟は夢の中で二人に話しかけました。

 「おい、お前たち。お前たちはなんでこんな田舎にいるんだ」
 「こんな田舎にいても楽しいことなんて何もないだろう」
 「どうせお母さんに怒られるだけの毎日さ」
 「怒られて怒られて退屈で退屈で…その毎日をずっと続けたいのかい?」
 「都会に行くのが怖いんだろ。お母さんや友達と別れるのが怖いんだろ」
 「君たちは臆病者の兄弟だ」

 そう言って、悪魔ねずみは兄弟ねずみの夢の中から消えていきました。


  その翌日、兄弟ねずみは都会へ冒険に行くことを決意しました。

 「え!都会に行くの?」
 「うん!僕たちは都会に行く!もうこの田舎暮らしはうんざりだ」
 「都会に行ってどうするの?」
 「楽しいことをして、冒険して幸せになる」
 「素敵なお店もいっぱい見たいわ」
 「でもお母さんに怒られるよ、なんて言って出ていくの?」
 「なにも言わないで行くよ、だってどうせお母さんには反対されるに決まっている。いつも怒られてばかりだし」

 その兄弟ねずみは、そう言って友だちとサヨナラをしました。

 兄弟ねずみの頭の中は、都会のことでいっぱいでしたから、遠い旅も苦労ではありませんでした。
 時々ふっと、お母さんのことを思い出して寂しくなりましたが、いつも怒られていたのできっといないほうがお母さんもいいのだろうと思いました。


 だいぶ歩き、あたりが暗くなったころ、兄弟ねずみに声をかけたのはふくろうでした。

「こんばんは」
「ふくろうさん、こんばんは」
「田舎の兄弟ねずみか。都会に行こうとしてるんだな」
「どうしてわかるの?そうだよ」
「田舎がつまらないから、都会に行けば楽しくて幸せだと思っているのだな」
「うん、そうだよ」
「田舎にいるものは臆病者で、冒険しないのは勇気がないからと思っているのだな。田舎のみんなは時間を無駄にしていると思っているのだな」
「う~ん、かもしれないね。だって、田舎より都会がいいに決まってる」
「行ってくるがいい。君は君でいいのだ。君は君で自由なのだから」

ふくろうは、そう言って兄弟ねずみを見送りました。

そして兄弟ねずみは都会に向かって再び歩き出しました。

都会が近づいてくると、空気が違ってきました。
田舎では見ることのなかった車が走り、たくさんの人間が行き交いしていました。

「うわ~すごいなぁ、これが都会かぁ」
驚いていると、そこに都会のねずみがやってきました。

「都会ねずみさん、何しているの?」
都会ねずみたちはそれには答えず、忙しそうです。

「ねぇ、みんな、何をしてるの?」
「見たらわかるだろ、ここから逃げるんだよ」
「え、どうして?」
「ねずみの駆除がやってくる」
「駆除?」
「俺たちはみんなから嫌われてしまっているんだよ」
「ここにいると捕まってしまうわ!」
「みんな、早くしろ」

田舎ねずみはびっくりして聞きました。
「じゃあ、どうするの?どこへ行くの?」
「とりあえずここを出よう。次にどこに行くかはまだわからないけど、とにかく急がないといけない。車にひかれてぺしゃんこにならないようにも気を付けないといけないし」
「ここは田舎じゃないのよ、のんびりなんて出来ないの。あなたたちは田舎から来たのね」
「あ~、都会になんて生まれたくなかった。田舎でのんびり生活してみたい」
「きっとこんなに空気も悪くなくて、自然がいっぱいでのびのび遊べるんだろうなぁ」
「鬼ごっこやかくれんぼをたくさんしたいなぁ」
「田舎に生まれたあなたたちがうらやましいわ」
「おい、グズグズ言っている暇はないぞ。とにかくすぐに地下道に入って遠くまで逃げるんだ」


兄妹ねずみは都会ねずみの言うままに、そこから逃げました。

車も多く、地下道というところを通りましたが、途中で都会ねずみたちとはぐれてしまい、地上に出てきたときには、そこがどこだかすっかりわからなくなってしまいました。

 途方にくれた兄妹ねずみ。
 都会に着いてまだ少しもたっていないのに、もうすっかり都会が嫌になってしまいました。
 そして、迷子になってしまったことから、田舎のお母さんや友達のことが恋しくてたまらなくなりました。
 帰る方向さえわからず、兄弟ねずみは泣きだしました。

 「あ~、僕はなんて馬鹿だったんだろう。草や木や川があって、どこでも遊べてぺしゃんこにもなることもなく、駆除もなく、おうちがある田舎の生活の方が都会よりずっといいじゃないか」
 「お母さんに怒られてばかりで嫌だったけど、でもこんなところで逃げ回って寂しく暮らすのなんて、私には無理だわ」


 すっかり泣きつかれた兄弟ねずみは、眠ってしまいました。
 
 すると、誰かが「おい、起きるんだ、おい、起きろ」と声を掛けます。来るときに会ったふくろうでした。

 「あ、ふくろうさん」
 「田舎への帰り道ならこの道をまっすぐ行けばよい」
 「う、うん」
 「都会はどうだった」
 「都会は嫌だったよ。みんな自分のことだけで忙しそうだし空気も悪いし危険がいっぱいだし」
「田舎の方が絶対にいい。都会のねずみの方が不幸だった。ふくろうさんもそう思うでしょ?」
 「俺はそうは思わない」
 「え?じゃあ都会の方がいいの?」
 「そうも思わない」
 「どういうこと?」
 「都会には都会の良さがあり、田舎には田舎の良さがる」
 「そうかなぁ、そうかもしれないけど…」
 「夜の森の中過ごすふくろうからすれば、仲間と一緒に明るい空を飛ぶカラスの方がうらやましい。きれいな景色が見えるじゃないか。しかしカラスは自分の黒さをきらってふくろうの方が良いという。森の中で静かに過ごす方が気楽でいいじゃないか、ともね」
 「…」
「多くの者は、誰かと比べて今の自分にないものをわざわざ探しているんだよ。今あるものや、やっと手に入れたもののことはすぐに忘れて」
「…うん」
「何かと比べて得られる幸せなんてないのだ。誰かと比べて得られる安心もない」
「じゃあ、どうすればいいの」
「どうするかは自分で考えるんだな。ただ、ひとつだけ覚えておいて欲しいことがある」
 「なに?」
「君は君でいい。何も足りないものはない。君の経験はすべて素晴らしいし、君は君で素晴らしい存在なのだ。そして君の頭の中は無限に自由だ。君は君でいい。みんなもみんなでいい」
 そう言うと、ふくろうは飛んでいきました。


 兄弟ねずみのは、田舎に帰り始めました。

「僕は僕でいい」
「私は私でいい」
「無限に自由って何?」
「わからないわ」
「比べたって幸せにならない。ふくろうさんはそう言ったけど…。でも僕は鬼ごっこをしても足が遅いからすぐにつかまる。それにお母さんからも毎日怒られてばっかりだ」
「他のお母さんの方がずっと優しいから、他のお母さんの方がいいなっていつも思ってた。でもそれは私が悪いから怒られるわけだし…」
「私が私でいいって、なかなか思えないな」
「僕が僕のままでいいわけがない」


兄弟ねずみは、ふくろうに言われたことを考えながら歩いていきました。




ふと気が付くと、二人は家のそばまで来ていました。
そして、お母さんにどう言えばいいかを考えて、ドキドキしてきました。

「どうしよう、きっとすごく怒られる」
「うん、きっとすごく怒られるわ。前だって、遊んで帰ってくるのが少し遅くなっただけでものすごく怒られたもん。何も言わずに都会に行って一晩過ごしたとか、もう出ていきなさいって言われるかも」
「でも、もう僕は出ていきたくない。でも怖いなぁ。帰りたくないなぁ」

それでも、もう行くところはありません。思い切って兄弟ねずみは家に帰りました。

いきなり怒鳴られる覚悟を持って、静かに入っていきました。

ところがお母さんがいません。
兄弟ねずみはお母さんがいないということを考えていませんでしたから、いるはずのお母さんがいないことにもっとドキドキしてきました。

「お母さん!どこ!?」
「どこ!どこ! おかあさ~ん!!」

家を探してもいません。
何度呼んでも返事はありません。
その瞬間に、田舎ねずみはどれだけお母さんを愛していたかを感じ、同時にこれ以上ない後悔の気持ちでいっぱいになりました。


そこに兄弟悪魔ねずみが姿を現しました。

「ダメな兄弟だ」
「なんだ、帰ってきたのか、意気地なしめ」
「お前たちは何をやってもできやしないダメ兄弟だな」
「だからいつも怒られるのさ」

「お母さんはどこにいるの!」

「知らないね」
「きっとどこかに遊びに行ったのさ」
「お前たちのことなんて忘れてね」
「そういえば前、家から出ていきなさいなんて怒られていたな」
「お母さんはお前たちがいなくなってせいせいしてるよ」

「僕たちはなんて勝手なことをしたんだ」
兄弟ねずみは家を出て、外を探して走りました。
あたりはもうすっかり暗くなってきました。




どれだけ走ったでしょうか。

遠くからお母さんのような声が聞こえてきたではありませんか。
兄弟ねずみは近づきました。声は神社から聞こえてきています。
間違いありません。
お母さんは神社に手を合わせて祈っていたのです。


「神様、どうかあの子たちが無事でありますように。どうか都会で迷子になっていませんように。どうか車にひかれていませんように。お願いです。どうかあの子たちを助けてください。私の命と引き換えにしてもらって構いません」

お母さんは必死に祈っていたのです。

 「私はあの子をいつも怒ってしまっていました。よくできる他のお友達と比べたりもしました。比べるなんて、私も子どものころすごく嫌だったのに。
 でもよくわかりました。あの子たちはあの子たちでいいんです。あのままでいいんです。もし、もう二度と会えないとしても、神様、そのことだけはあの子たちに伝えてください。あなたはあなたでいいし、そしてお母さんが誰よりも愛していることを」



 どこからかふくろうの鳴き声が聞こえる、月の綺麗な夜でした。


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